マクロは現場の救世主?!

「Aさんが作ったマクロがあるので現場は困っていません」

とある企業の業務担当者にお話を伺うと、こんなお返事が戻ってきました。

Aさんという社内のエクセル職人が作ったマクロが現場のニーズに神フィットし、必須ツールとして業務に組み込まれていたのです。

システム化を進めたい経営層は、エクセル職人Aさんに感謝しつつも、マクロに依存している現状に不安を感じています。
一方で現場の担当者は、平穏な毎日を脅かす変化を「敵」とみなしてしまう傾向すらあります。

現場に求められていない “脱マクロ” は、本当に必要でしょうか?

マクロのもたらす未来

マクロを使い続けるデメリットは「属人化」です。

ひとたびマクロが業務に組み込まれたら、動いている限りずっと作成者がメンテナンスし続けることになります。

「エラーが出た」という問い合わせを受けたなら、原因究明に時間を割くことになるでしょう。
もし業務システムが刷新されたら、マクロの大掛かりなアップデートが必要になります。

では、もし作成者が退職したら・・・どうなるでしょうか?

誰もメンテナンスできなくなったマクロは放置され、いずれ使えなくなってしまうでしょう。

マクロによる業務効率化は、実は作成者への「継続的な負担」の上に成り立っているのです。

マクロを使うこと自体が悪いのではありません。
作成者ひとりに負担を強いてしまう「属人化」こそが問題なのです。

脱マクロではなく、脱属人化を目指す

脱マクロを進めるうえで、まず思いつくのは「システム化」です。

マクロをシステムに置き換えれば、開発ベンダーによる保守体制が組まれるので、自ずと属人化は解消されます。

では、マクロを使い続けることを選んだ場合は、属人化の解消を諦めたことになるのでしょうか?

いいえ。そうとは限りません。
もしマクロを使い続けるという結論に至ったのなら、「仕様書」を作ってもらえるようマクロ作成者に依頼してください。

作成者は「面倒だ」と難色を示すと思いますが、ここは「口頭ベースの引き継ぎ」で譲歩してはいけません。

秘伝のレシピをきっちり書き出してもらい「ドキュメント化する」ことこそ、属人化を脱却するうえで最も重要なのです。

脱マクロの検討は、業務改革のチャンス

マクロによって実現されるのは、ルーチンワークの自動化であり、担当者目線での “部分最適化” です。

せっかく脱マクロを検討するのなら、マクロに代わる「部分最適化のツール探し」が前提ではなく、「業務がどう在るべきか」の観点でまずは考えるべきです。

脱マクロを “目的” にしてしまうと、部分最適化から抜け出すチャンスを失ってしまいます。

そして、脱マクロが必ずしも正解とは限りません。
脱マクロは、脱属人化における “選択肢のひとつ” に過ぎないのです。

マクロに限らず、「あの人しか分からない」という属人化した業務はありませんか?
まずは業務の棚卸を行い、業務改革の余地を探すことからはじめましょう。