2023
7/01
第49話:議事録は単なる雑務ではない
- PMO
- コラム
執筆者
シニアコンサルタント
古田 龍起
議事録って必要なの?
面倒ですよね、議事録。
議事録作成が楽しくて仕方ない、という人はきっといないだろうと思います。
書かずに済ませる代案はいくつも思いつくのに、それでも手間をかけて議事録を書くのは何故でしょうか?
議事録は、決して価値の低い雑務などではありません。
ポイントやコツを整理しながら、議事録を書くことの価値について考えてみたいと思います。
「何を」「誰に」伝えるか
議事録に書くべき情報(何を書くか)は、以下の通りです。
・決定事項(決まったこと)
・未決定事項(決まらなかったこと)
・要確認事項(確認が必要なこと)
・ToDo(誰が何をするか)
そして、何を書くかと同じくらいペルソナ設定(誰に向けて書くか)も重要です。
・プロジェクト関係者(会議の参加者と欠席者)
・プロジェクトオーナー
・経営層
このあたりが、議事録を見る人としてイメージしやすいと思います。
議事録は、あらゆる立場の人(自分以外の全員)に向けたものと意識してください。
体言止めや素っ気ない箇条書きでも、決して失礼な印象を与えることはありません。
伝えるべきことを、伝えるべき相手に、簡潔に伝えましょう。
ポイントは「早く・短く」
議事録は鮮度が命です。
1分1秒でも早く出すことが肝要です。
最もありがちな間違いは、一語一句を漏らさず記録した「会話メモ」を作ってしまうことでしょう。
そもそも “発言を記録する” のが目的なら、録音した音源を残しておくのがベストです。
あえて文字化するのは ”要約された情報が欲しいから” なので、ためらわず大胆に文字量を削ってください。
「できたてのファストフード」のおいしさが求められているのが議事録です。
完成度よりスピード重視で、仕上げてしまいましょう。
コツは「事前準備」と「割り切り」
会議前の10分程度で構いません。
どういう会議内容になるのか、事前に脳内シミュレーションしてから本番に臨んでみてください。
予習できていれば、大事なポイントを聞き逃がしてしまう心配が減るので、文字起こしに奮闘する必要がなくなります。
もし先回りで「仮説ベースの議事録」を作ることができるなら、それを加筆修正するだけで議事録が仕上がってしまいます。
長い文章は、そもそも読んでもらえません。
長文の「会話メモ」を出してしまうと、言った言わないとか、表現違いとか、要点から外れた議論のタネを生んでしまいます。
重箱にたくさん詰めようとするから、隅が目立ってしまうのです。
もっと小さく、弁当箱に詰めるイメージで、バランスよく適度な文量で書いてください。
議事録ってクリエイティブ
議事録は「夜のスポーツニュース」のようなものです。
昼間の試合をその日のうちに、ダイジェストでお知らせすることに意味があり、翌日だと遅すぎます。
一部始終を放送する時間もないので、ハイライト(要点)だけを伝えることになりますが、ここが腕の見せどころです。
議事録には「要点を簡潔にまとめる」という文書作成における基本ルールや作法がぎっしり詰まっています。
ポイントやコツをしっかり押さえ、議事録の達人を目指しましょう!
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執筆者プロフィール
シニアコンサルタント 古田 龍起
1977年、熊本県生まれ。元・社内SEのITコンサルタント。
情シス歴15年の経験を活かした当事者目線の業務改革、現場のニーズに寄り添ったプロジェクト支援を得意としている。