2019
11/26
第31話:IT部門/情シスのPMOは、なぜ週次定例会を開催しないといけないのか?
- PMO
- コラム
執筆者
情シスコンサルタント
田村 昇平
週次定例会の苦悩
「毎週やっている定例会を隔週にしてもいいですか?」
「ダメです」
田村は即答しました。
情シスのPMOメンバーUさんから相談を受けたときの会話です。
出席しているユーザーから
「時間がもったいないし、毎週やらなくていいのでは?」
と言われたそうです。
その週次定例会は、3つのユーザー部門から9名が参加しています。
いつも盛り上がることなく、Uさんがひとりで必死に話しています。
参加者は手元のスマホを見たり、持ち込んだPCで内職したりしています。Uさんが質問をした時だけ手を止めて回答し、話が終わるとまた視線を落とします。
最近は定例会の出席率も悪くなり、欠席が目立つようになっていました。
週次定例会で進捗が引っ張られる
PMOをやった事がある人はご存じだと思いますが、PMOにとって毎週の定例会は非常に重荷です。
準備不足のままだと、場が白け、胃に穴が開きそうになります。
ユーザーから批判されることもありますが、相手にされずに空回りを感じている時が、最も精神的ダメージを受けます。
ファシリテーションをやっていると、その場が失敗かどうか、本人が一番分かってしまうものです。
それでもなお、PMOが週次定例会を開催する理由は何でしょうか?
週次定例会では、PMOが毎週の進捗を確認します。前回の宿題が完了したかも追求します。止まっていたら、原因と対策をきちんと確認します。
ユーザーから嫌われようが、ウザがられようが、しつこく確認します。
それでも、定例会が機能していればユーザーは納得します。そうでない場合、ユーザーに「この会議、意味ある?」と聞かれます。PMO失格です。
恥ずかしながら、田村は今まで何度もその「呪いの言葉」を聞いてきました。その度に落ち込み、次回こそは意味のある場にしようと死に物狂いで改善を続けました(今でもそうです)。
意味のある場にするためには、ユーザーに「やっていません」と言わせないこと。これが一番、場が白けます。進捗がなければ課題も発生せず、議論すべき論点もなく、関係者が集まる理由もなくなります。
そのため、PMOは事前に宿題をリマインドします。そこで進捗がなさそうであれば、個別に現場介入し、進捗を促し、課題があれば定例会の議題に入れます。
そうやってPMOは裏で走り回り、定例会を何とか成立させていきます。
これを毎週繰り返すことで、定例会が「ペースメーカー」となり、プロジェクトを動かしていくのです。特に「現場が忙しいユーザー」に対しては大きな効果を発揮します。
定例会は、「毎週」やるからこそ意味があります。
毎週やらないのは、何かしら進まない状況から逃げているだけです。
毎週は大変つらく、手を抜く暇がありません。PMOはいつも不安に駆られ、失敗しないよう必死にフル回転します。
だからこそ、プロジェクトを「ドライブ」できるのです。
毎週は苦しいですが、それがPMOとしての正常運転となります。
定例会はPMOを映す鏡
冒頭のUさんは、必死に週次定例会を回し続けました。
事前の根回しが功を奏して、場の雰囲気も明るくなります。出席率も改善され、プロジェクトの進捗も回復しました。
何より、Uさんが以前より明るくなったと感じます。
PMOの精神状態は、定例会の雰囲気に左右されるということです。
貴社のIT部門/情報システム部門のPMOは、ペースメーカーとして週次定例会をうまく回せていますでしょうか?
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執筆者プロフィール
情シスコンサルタント 田村 昇平
IT部門の育成・強化を専門とするコンサルタント。
ITプロジェクトの企画から導入・保守までの全工程に精通し、そのノウハウを著書「システム発注から導入までを成功させる90の鉄則」(技術評論社)で公開している。
>>著書の詳細は、こちらをご覧ください。