2019
7/03
第26話:情シス/IT部門のPMOが会議で発言できない理由とは?
- PMO
- コラム
執筆者
情シスコンサルタント
田村 昇平
発言できない情シスPMOの悩み
「会議で全く発言できないんです」
ある情シスPMOのメンバーから相談を受けました。
日々、多くの会議に出席しているが、ほとんど発言ができずに悩まれているとのこと。
その理由を聞いてみると
「その業務領域はまったくの未経験で知見がない」
「ユーザーとベンダーの話に全くついていけない」
「その領域を勉強するにも、範囲が広すぎて…」
「PMOとして役に立っていないのではないか」
と言いながら、大きなため息をついています。
PMOにとって、未知の領域で会議を進めることは珍しくありません。このような状態で日々を過ごすと、自信を失い、メンタルが壊れかねません。
情シスPMOとして、どう対応していけばよいのでしょうか?
コメンテーターではなくファシリテーター
そもそも、なぜ会議で発言しないといけないのでしょうか?
会議の出席者は、それぞれ役割があります。
- 意思決定する人
- 意見を出す人
- 進行する人
- 記録をとる人
- 状況を把握しにきた人
- 牽制しにきた人
役割によっては、発言しない方がいい場合もあります。
ここでPMOの人が陥りやすい罠とは何でしょうか?
それは、PMOが「意見を出す人」になろうとすることです。
業務や技術の専門性がない中で無理に意見を出そうとすると、的外れな意見となり、周りから浮いてしまいます。発言が軽視され、相手にされなくなってしまいます。
PMOは、まず「進行する人」、言い換えると「ファシリテーター」であるべきです。
話の流れに意識を集中させ、全体の発言を促し、論点を整理し、適切な人にコメントを求め、脇道にそれたら戻します。場が膠着したら、議論の「呼び水」となる質問を投げかけたりします。
その会議が目的を達成するかどうかを「設計」し、そこに責任を持ちます。その成果が「決定事項」と「To-Do」になります。
そう考えると、本質的には別の問題が見えてきます。
発言できないのは
「会議に対して受け身だから」
ということです。
言い換えると、会議の準備が不足しているのです。
- 事前に自分なりの論点を整理していない
- 事前に自分なりの論点を整理していない
- 事前に呼び水となる質問を準備していない
- 事前に会議の流れと落としどころをイメージできていない
- 関連する資料やメールに目を通していない
- 必要最低限の勉強が足りていない
PMOにとって、会議は「準備が9割」です。手ぶらで参加するユーザーとは、立場も役割も異なるのです。
「会議がうまくいかない責任はPMOにある」という当事者意識が先にあれば、必要な準備は見えてくるはずです。手当たり次第に勉強をするのではなく、論点に応じて、調査の強弱もつけられるようになります。
攻めの情シス/IT部門は会議運営から
PMOにとって、会議や打ち合わせは日常シーンです。
その会議や打ち合わせをPMOが「受け身」ではなく「主体的」に回しているかどうか。そしてその準備に時間を割いているかどうか。
準備ができていれば、自然と「発言」も多くなります。主体性をもった会議運営は、自信にもなり「メンタル」にも好影響をもたらします。
そのようなPMOが、プロジェクトの「質」と「進捗」を引き上げていきます。
貴社の情報システム部門/IT部門のPMOは、会議で「発言」できていますでしょうか?
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執筆者プロフィール
情シスコンサルタント 田村 昇平
IT部門の育成・強化を専門とするコンサルタント。
ITプロジェクトの企画から導入・保守までの全工程に精通し、そのノウハウを著書「システム発注から導入までを成功させる90の鉄則」(技術評論社)で公開している。
>>著書の詳細は、こちらをご覧ください。