2019
4/16
第23話:情シス/IT部門に求められるPMOとは? ~PMOの役割と必要性~
- PMO
- コラム
- 情シス論
執筆者
情シスコンサルタント
田村 昇平
PMOのイメージは人それぞれ
「PMOって何ですか?」
先週、たまたま同じ質問を2回いただきました。A社の事業部長、B社の業務課長と、それぞれ別の現場からの質問です。
振り返ってみると、今までで一番多く受けた質問かもしれません。
プロジェクトで使う用語なので、プロジェクトの関係者でない限り、知らないのが当たり前です。
それぞれ情シスメンバーが「PMOとは」に回答したのですが、その回答もバリエーションに富んでいます。どれも正解なのですが、PMOの役割は多岐にわたるので、個人の思い入れの強い部分が言葉に現れるのでしょう。
PMOの役割について、今一度整理したいと思います。
PMOは2軸で考える
PMOは「Project Management Office」の略、直訳すると「プロジェクトを管理する事務局」となります。
このPMOの役割は何でしょうか?
プロジェクトには、必ず「目的」があり、それを達成するための「計画」があります。
プロジェクトは、基本的に今までやったことのない事をやろうとするので、困難の連続です。なかなか「計画」通りに進みません。
プロジェクトを「計画」通りに進めるための存在、それがPMOです。PMOは、プロジェクトの「目的」を達成させるためのあらゆる活動が求められます。
<役割1:プロジェクト管理>
- プロジェクト計画、WBS/タスク計画
- 進捗管理、見える化
- リスク/課題管理/li>
- コスト/予算管理
- 品質/仕様変更/障害管理
<役割2:プロジェクト推進>
- 会議設計、ファシリテーション
- 社内調整、課題解決フォロー
- ベンダー調整、交渉
(厳密にいえば、標準化、環境・ツール整備など他にもありますが、説明をシンプルにしたいので省略します。)
ポイントは、「管理」と「推進」の2軸で考える、ということです。
PMOは、「管理」だけをやると間違いなく嫌われます。典型的なのは、進捗を聞いて「お尻をたたく」だけの人。報告するだけ損をするので、PMOに情報が集まらなくなります。
つまり、PMOがうまく機能していない現場の共通点は、「管理」しかしていないということです。
一方で、プロジェクトの「推進」とは、問題のあるタスクや課題に首を突っ込み、関係者に根回しを行い、必要な手を打っていくこと。傍観者ではなく当事者として、現場に入り込み、非常に泥臭くタフな調整が求められます。
この「推進」の積み重ねが、PMOに信頼を生み、情報を呼び寄せ、効果的な「管理」ができるようになっていきます。
PMOは情シス/IT部門の必須スキル
「プロジェクトの4分の3は失敗する」と言われています。
成功の4分の1に入れるかどうか、それはPMOの存在にかかっています。
PMOが機能すれば、プロジェクトは必ず成功します。
PMOのコアスキル「管理」と「推進」はどのプロジェクトにも求められます。どんな「業種」、どんな「テクノロジー」にも対応できるということです。
つまり、情報システム部門/IT部門には、PMOは必須の役割といえます。PMOができれば、あらゆる部門から声が掛かります。
会社が飛躍的に発展していくためには、挑戦的なプロジェクトを立ち上げ、情シスがPMOとして会社の「ロケットエンジン」になること。
弊社では、そのようなPMOを全力でご支援しています。
「PMOって何ですか?」
御社では、どう答えますか?
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執筆者プロフィール
情シスコンサルタント 田村 昇平
IT部門の育成・強化を専門とするコンサルタント。
ITプロジェクトの企画から導入・保守までの全工程に精通し、そのノウハウを著書「システム発注から導入までを成功させる90の鉄則」(技術評論社)で公開している。
>>著書の詳細は、こちらをご覧ください。